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2004年6月19日〜27日 : 北海道日高山系


3日目(6月21日)




外の明るさに目覚め、今何時なのかと時計を見るとまだ3時半ではないか。3時半ってこんなに明るかったっけ?
まぁいいや、ねるの勿体ないからもう起きちゃおう。夜中に星が見えたので期待をしていた通り本日は快晴のようだ。
そういえば、昨日の夜ワサワサっと何かが飛んできて、頭上の枝に止まった気配を感じた。まさかシマフクロウなんじゃ!慌ててカメラの電源を入れ、 めくらめっぽう辺りの木々にフラッシュたきまくったんだけど、何も写っていなかった。ムムム、残念。
さて、今日からいよいよ待望の釣りを開始。
昨日のレポートで、まずは目黒へ来たと記したが、最初にここを選んだ理由はただ2つ、今回の北海道釣行最大の目的である「豊似湖」にカヌーを浮かべて 大物ゲッツを試みる事、で、隣接する猿留川でも大物ゲッツ。(^^)v
豊似湖は、日高山系に唯一存在する自然湖で、ハート形をした周囲1〜2Kmのそれはそれは小さな湖。イトヨの生息が湧水湖である事を証明している。
※ちなみに、地元の方々は豊似湖とは呼ばず馬齢湖と表現する。
ここにはマスが生息しているのだが、紙面はもちろんネットでも釣り場として紹介される事は皆無に等しい。知られていない理由に輪を掛けて、この一帯はヒグマの生息数がとても多く、故に敬遠される傾向が強いようだ。
長い悪路に頭上のカヌーを気にしつつも、はやる気持ちを抑えられず思わずアクセルを踏み込んでしまう。
開けていた景色はいつしか薄暗い森となり、原生林をくぐりりぬけると、ようやく車止めに到着。以前訪れた時はこんなに広いスペースでは無かった ハズだから、多少なりとも整備の手が入っているという事なのだろうか。
辺りから聞こえてくるのは、けたたましいキツツキのドラミングと、どことなくもの悲しいのはエゾシカのうなり声。聞き方によっては気色悪くも。
ここから湖岸まではしばらく獣道を歩く(上の写真)事になるのだが、途中アップダウンがあり木々も生い茂るので、ドデカいカヌーを移動させるだけのスペースが 確保出来るか心配。
ロウアルパイン100Lのザックには、釣り道具、軽食、飲料水、雨具、救命胴衣、予備を含めたパドルを2本、なんといっても重いのがEF600mの レンズをはじめとするモロモロのレンズ群に1Dボディー。これらは、万が一ナキウサギやヒグマを発見出来た時に撮影しようと考え持参した。
分かっちゃいたけど、運ぶ荷物を眺めて思わず倒れそうになる。こりゃ一気に運ぶのは無理だわ...
仕方なく2回に分けて運搬する事にした。
シッカリと入山記録に記帳。ドゥリャサーと一声発し、頭上にカヌーを持ち上げた。やれやれ1回目の出発である。
「を、をもい...つ、つらい...」
数分も歩くと山道の傾斜がきつくなり、両肩にカヌーが食い込み、首にも食い込み「あ、もうダメ^^;」
#休んぢまおうか...うんにゃ、ここで降ろしたら男がすたるもんぢゃて...
一度も休憩を取ることなく20分かけて無事湖岸まで辿り着いた。ああ、何年ぶりだろう。趣は変わってないが少々水面が低いかな。
をを、そーだ、我には余韻にひったっている暇などないのぢゃ。再びザックを取りに車止めまで戻らねば。トホホ...
1時間後、すべての準備を整え、いざ出挺。
片足を船に乗せ、もう一方の足で湖岸をトンと蹴ると、鏡の湖面を割るように前へ進む。さっすがキャンパーは速い。
長く思い描いていた1つ念願が叶った瞬間でもあった。ここへはこれまで何度も訪れたが、湖岸の限られたスペースからフライを投じても、 遙か沖のライズには届くハズもなく、都度悔しい思いを強いられ続けてきた。だが今自分は、まさに湖のド真ん中にいるのだ。 自由に移動が可能なのだ。わは、わはははははは!
今日こそ沖のバッコンライズを取っちゃるぞぉ。(<ヤル気まんまん)
散発的ではあるものの、バッコンライズは健在なり。音を立てないようパドリングに細心の注意を払いライズに近づく。お決まりのパイロットフライ (アダムス)を使おうか。いきなりリーチで沈めるか。ゾンカーもミノーもあるぞ。う〜ん、困った。
まぁ、”案ずるより横山やすし”ってゆーでしょ(<怒るでぇ〜、ほんまに)。悩むより先にまずは試してみようや。
って事で、「アダムス」をセットするとライズエリアに向かってキャスティング開始。空を切り、XP10フィート#5がうなりを上げて(<ホントか?^^;) ラインを伸ばす。 30分も投げ続けただろうか、突然「ボゴッ」。わぁ、きたぁ〜〜、反射的にアワセると、なんとアワセ切れ。悔しいのだが、イケそうな 予感にがぜんやる気を出し、このフライで釣れない魚には用はない、興味も無いとばかり、結ぶフライを特大ゴッダードキャディス(アンテナ付き)に変更。 (<えげつない性格丸出し)
2時間が程なく過ぎ、その間3回反応が有ったものの、内2回はバラしで、1回がまたもアワセ切れ。業を煮やしティペットをこれまでの5xから4xに 変えた。
アンカーを打っていないので、ポジションキープのための頻繁なパドリングとキャスティングの繰り返しは、釣りに対する思考が分断されてしまうので、 やはりエレキも持ってくるべきぢゃった...でも、そんなもん持ってきたら2往復で済んだ運搬が3往復にはなっていただろうなぁ。やっぱしイヤぢゃ。
さぁて、そろそろ3時間が経つ。長く同じ態勢が続いた事で腰が結構つらい。この辺で一旦丘に上がるべぇか。
上陸地点は湖最奥の唯一開けた湖岸。
岸に近づくと、透明度の良さからかなり深い湖底をのぞき見る事が出来る。湖岸近くでは巣作りしているイトヨが見えた。感動...
船に乗っている時は意識などしないのだが、ひとたび陸に上がれば、無防備な自分といつ何処で出くわすかもしれないヒグマの存在に緊張感を覚える。
でもまぁ、こちとらカウンターアソールトを2本も持って来たのだ。ちとでもオレ様にちょっかい出してみろ?全部ふりかけてやっからな。
背伸びをしてタバコを一服。
相変わらずエゾシカの鳴き声がうるさくて気に入らない。カナダの湖で釣っていた時、ルーンの鳴き声(オオカミの遠吠えにそっくり)に悩まされた時を思い出す。
さぁて乗り込むかとライフベストを着ていたら、あらら?直ぐ手前でもライズしてんぢゃん!
しめしめ、湖岸からキャストしちゃおう。
きれいにラインが伸び、その付近にフライがポテッと落ちる。
何もない...変化無し...暫くこんな繰り返しが続いた。突然フライが「ボゴッ」って音と一緒に消えた。
すかさずアワセる。空振り?いんや重い。今度こそ食ったぞっ!待ちに待ったフッキングぢゃ〜〜〜〜〜っ! 水中で首を振る魚の振動がロッドに伝わる。
今までネットを出したりラインを巻いたりしている内にバラしてしまうオチが多かったので、ここはイチかバチか丘に引きずり上げる判断をした。 慎重に後ずさりし、岸のごろたまで引いたところで一気に引っ張り上げた。
岸の上に横たわり、ドッコン、バッコンと重く跳ねる魚体を目にしてランディング成功を実感。マジでニンマリモード。
やったぜベイベー。(^^)v

丸々と太った34cmのブラウンだった。
へ?ってこたー何かい、わざわざカヌーなんて持って来る必要なかったぢゃん。トホホ...


午後4時前、急速に雲行きが怪しくなり、東から吹き込む風も強くなったので、慌てて帰り支度の準備。車まで荷を運ぶのに、例の如く2往復した。 (<エレキがあったら3往復だっ...もうえぇっちゅうに)
釣りを早めに切り上げて正解だった。目黒の漁村に降りると、海面で発生したガスが山へ向かって吹き上げ、気温はそれまでの汗ばむ陽気から一気に 14度まで下がった。思わず持参したトレーナーを着込む。台風6号の影響なのだろうか。
情報収集するためPCを立ち上げるが肝心のエッジが繋がらず、携帯から自宅に電話を入れて近況確認と併せて台風情報も得る。
どうやら、北海道の天候にも影響が出そうな気配だ。